法を改正して規制を強化したところで問題が解決するわけではない。それよりも業者が不法投棄しなくてもすむようなシステムを同時に考えるのが本筋というものだ。そもそも不法投棄は警察にバレないようにやるものだ。したがって、規制を強化したところで業者の悪知恵に拍車がかかるだけなのだ。それに最近の不法投棄はクルマの車体番号を削ったものがほとんどである。だから不法投棄車両を発見しても、実行犯を探り出すのは至難の業となる。かりに犯人をすべて特定するとなると、警察は他の業務をやめなければならないだろうし、予算も一瞬にして底をつくに違いない。自動車関連業界が路上に不法投棄されたクルマの対策に具体的に動き出しだのは一九九一年六月のことである。日本自動車工業会(自工会)、日本自動車販売協会連合会(自販連)、全国軽自動車協会連合会(全軽自協)、日本自動車輸入組合(輸入組合)の自動車関連四団体が自工会内に路上放棄車処理協会という団体を設立したのである。これは各市町村が一般廃棄物、すなわちゴミと認定した路上放棄車を自動車解体業者に委託して処理するにあたり、処理費を市町村に寄付するための団体である。この団体はけっして積極的に設立されたわけではなかった。というのは、路上放棄されたクルマが社会問題となり、生産者、販売者にも責任を追及する声が高まったため、その批判をかわす意味でつくられたのである。