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母親のいない姉妹

協会組織であるブロンテ・ソサエティが建物を管理、運営していることもあるが、一家が住んでいた当時は、どこの部屋も石造りの床がむき出しの寒々とした殺風景なものだった。姉妹は深紅色を好んでいたようで、シャーロットも「深紅色のものをアンが欲がり、染物工場に頼んだが、染め具合が思わしくなく不愉快だった」と述べている。ブロンテ・ソサエティが敷いたのだろうか、ここではベージュ色の壁紙と共に、深紅色のカーペットが彩りを添えている。一階の奥まったところに台所がある。ここは、一八二五年以来の三〇年間、一家の面倒を見てきた、使用人タビサ・エイクロイドの「城」であった。タビサは地元パワーズ生まれの女性だったが、母親のいない姉妹にとって彼女はよい話し相手でもあった。台所で忙しく働くタビサを手伝いながら、土地の古くからの言い伝えなどを聞くのが、姉妹にとっては大きな楽しみだった。タビサの作る料理はあまり手を加えない、素材をうまく使った伝統的な食べ物が多かった。例えばヨークシャー・プディングやさまざまな種類のパイなど。お祝いごとがあれば、鳩や兎の料理に、花や果物でこしらえた自家製のワインが、食卓を賑わせていた。